UI SOUR
以下に概要と簡単な手順の説明をします。
詳細なルールについては別ページにてご確認ください。
1. はじめに
UI SOUR(ユー・アイ・サワー) は、
カクテルづくり(味覚)・シンセサイザー操作(音響)・飲む人の身体感覚(生理的変化)
この三つが相互に規定しあうパフォーマンス作品です。
パフォーマンスはサイクル単位で進行します。
1サイクルには、
「仕込み → トップアップ → ステア → 飲む → テイストフィックス → 休憩」
という6つの段階があります。
サワーとシンセの組み合わせは自由ですが、ここでは例として
- 美酢と焼酎によるサワー
- 0-coastシンセサイザー
を用いた説明を提示します。使用機材の詳細は機材のページでご確認ください。
2. 演奏の準備(初期設定)
-
狙いを決める。
作品の目的は、おいしいお酒を飲みながらいい音楽を聞いてリラックスすることです。
その目的に基づいて、時々の状況や体調によってパフォーマンスごとに作品の方向を簡単に設定します。
例:「今回は散逸から収束をめざす」「明るい音で泥酔したい」「軽めのお酒でヘヴィーな音を聞く」など。
- 方向(T)を決める。
ダイス(サイコロ)を振って T0/T1/T2 のいずれかを選びます。
この値によって素材(焼酎、美酢、炭酸、レモン、氷)の回す方向が変わります。
- T0: 均衡を探る動き
- T1: 刺激をやわらげる動き
- T2: 散逸(拡散)や短い反復の動き
- 仕込みの順番を決める。
同じくダイスで次の3種類から選びます。
- 標準的な順: 焼酎 → 美酢 → 炭酸 → レモン → 氷(安定・おだやか)
- 上昇先行: レモン → 炭酸 → 美酢 → 焼酎 → 氷(瞬発的で鋭い)
- 収束先行: 氷 → 焼酎 → 美酢 → 炭酸 → レモン(沈静的・やや鈍い)
- ノブ(つまみ)の位置をそろえる。
シンセサイザーのノブはすべて「12時の位置(中央)」にしておきます。
3. サイクルの流れ(6段階)
① 仕込み(Preparation)
- 決めた順番(Order)に従って、5種類の素材を順に処理します。
手順はノブを回す → 素材を入れる が推奨です。
これは、ノブ回転の物理的限界が素材投入量を規定するからです。
- 焼酎=VARI
- 美酢=OT
- 炭酸=MULTI
- レモン=RISE
- 氷=FALL
- ノブの回転方向 は、「方向表(T)」と「音タグ(刺す/だれる/無判定)」の組み合わせで決まります。
- 「刺」タグのとき:全体的に鋭く上向きの動き。
- 「だ」タグのとき:やわらかく下向きの動き。
- 「無」タグのとき:平板(どちらでもない)として扱います。
- 1クリック(1段階) の回転は、液体なら約10ミリリットル、レモンや氷なら1個分の変化に相当します。
- 部分許容:端まで届かない場合、最小限(+1クリック)だけ回す。
- 操作なし(Ø):可動余地がない場合のみ可。
- 同一素材の連続Øは禁止。
- ノブ操作後、回転量に対応した素材を投入します。
ノブの回転そのものが、投入量の基準になります。
② トップアップ(Top Up)
- 音による味の規定工程です。
- 少量(液体なら10〜20ミリリットル、レモンや氷なら1〜2個)を追加します。
- 追加する素材の優先順位はタグによって変わります。
- 「刺」タグのとき:まず氷(FALL)、できなければ美酢(OT)
- 「だ」タグのとき:まずレモン(RISE)、できなければ炭酸(MULTI)
- 「無」タグのとき:焼酎(VARI)を優先(回す方向は時計回りが基本)
- ノブを回す方向は、今のTとタグの組み合わせで決めます。
- もしすべての候補が操作できない場合は、素材だけを追加してノブは動かさず「空振り」と記録します。
③ ステア(Stir/FM変調)
- カクテルの攪拌と音響変化を対応させます。
- 回す回数はTによって変わります。
- T0 のとき: 1回
- T1 のとき: 2回
- T2 のとき: 3回
- 一方向だけに回し、往復はしません。
- ノブの深さ(FMの強さ)は1クリック単位で設定します。
- 休憩のたびに、深さを1クリックぶん減衰させます。
④ 飲む(Drink)
- カクテルを少量飲み、味と身体感覚を確かめます。
- 同時に、音響の印象(硬さ・明るさ・バランスなど)を短く聴き取り、次の判断に使います。
⑤ テイストフィックス(Taste Fix)
- 味から音へのフィードバック工程です。
- 向きはTとタグに従って決めます。
- また、この操作で得られた素材と方向が、次サイクルでの並び順(Order)を更新する鍵になります。
→ 次サイクルでは、この修正結果に基づいた順序で再び仕込みを行います。
- もしすべての候補が操作できない場合は「見送り」として、順序を変えません。
⑥ 休憩(Rest)
- 最低1分間の休憩を取り、状態をリセットします。
- この間にFM(ノブの深さ)は1クリック分だけ自然に戻します。
- また、休憩時に体調や気分を測って、次サイクルの実行が可能か判断します。不可であればその時点で作品は終了します。
4. 特別な状態 ― SPILL(スピル)
- 素材を入れている途中で、カップから液体が実際にこぼれた場合に発生します。
- その瞬間に通常の流れを中止し、次のように進めます:
1. それ以降の作業(残りの仕込み、トップアップ、ステア)をすべて中断。
2. T3(特別ルール)を適用し、すべての素材を一段階(+1クリック)押し出します。
3. 音タグを「刺」に固定します(次の仕込みまで暫定的に維持)。
4. 「飲む」→「テイストフィックス」を通常の手順で行います。
5. 氷やレモン片をすべて取り除き、残骸をゼロにします。
6. 1分休憩。
7. 次のサイクルへ進みます(Tを新しく決め直し、ノブはすべて中央=12時に戻します)。
5. 終了条件
あらかじめ終了の合図は設けません。
演奏者が酔いなどにより続けられなくなった時点で、
その状態自体を「システムの限界」とみなし、自然に終了します。
6. 背景にある考え方(関係論的ノイズ論:RNT)
UI SOUR は 関係論的ノイズ論(Relational Noise Theory, RNT) に基づいて設計されています。
- ノイズ: 外からの異物ではなく、関係の中で必然的に生まれる“ずれ”のこと。
- 即興: その“ずれ”にリアルタイムで応答し、構造に介入すること。
- フィードバック: その応答の痕跡を循環させ、秩序を更新し続けること。
UI SOUR の演奏では、
味と音と身体がフィードバックし合い、即興的な判断を通して次のサイクルを形づくります。
すなわち、それぞれが演奏であり、また楽譜・スコアとして生成される仕組みになっています。
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